食事と体の仕組み

眠れない夜に見直したい食習慣|睡眠の質を下げる食べ物と眠りを助ける3つのコツ

夜遅くにナッツをたくさん食べた日、なかなか眠れなかった。甘いものを食べすぎた夜も同じだった。

「ナッツは体にいい」と思っていたし、「少し甘いものを食べるくらいいいか」と思っていた。でも眠れない夜が続いて、食べたものと睡眠のつながりを調べてみることにした。

この記事では、睡眠と食事の関係を仕組みから整理しながら、自分が試してよかった夜の食べ方を正直に書く。「完璧な食事をしなければ」という話ではなく、「なぜ眠れないのか」を知るためのヒントとして読んでほしい。

こんな人に読んでほしい:

  • 寝つきが悪い、夜中に目が覚めることがある
  • 寝ても疲れが取れない感覚がある
  • 夜の食べ方と睡眠の関係が気になっている

睡眠と食事の関係|結論を先に

先に全体像をまとめる。

夜の食べ方睡眠への影響
就寝直前に甘いもの・糖質を多く食べる血糖値スパイクが起き、睡眠中に興奮系ホルモンが分泌されやすくなる
就寝直前に脂質・タンパク質を多く食べる消化に時間がかかり、深い眠りに入りにくくなる
夕食が遅すぎるメラトニン分泌中にインスリンが出にくくなり、血糖値が上がりやすくなる
夕食を軽めに、早めに済ませる胃腸が落ち着いた状態で眠れる。深部体温が下がりやすく、眠りが深くなりやすい
空腹すぎる状態で寝る睡眠の質が下がることがある。適度な量は必要

一言でまとめると:何を食べるかより、いつ食べるか・どれだけ食べるかが、睡眠の質に大きく影響する。

睡眠と食事の関係①:夜の甘いものが眠りを妨げる仕組み

寝る前に甘いものを食べると眠れなくなる——これには、血糖値とホルモンの仕組みが関係している。

就寝前に糖質を多く食べると、血糖値が急上昇する(血糖値スパイク)。体はそれを下げようとインスリンを大量に分泌し、今度は血糖値が急降下する。このクラッシュのタイミングで、体は血糖値を戻そうとしてアドレナリンなどの興奮系ホルモンを分泌する。

問題はここだ。アドレナリンは「覚醒・興奮」を引き起こすホルモンだ。眠っている最中に分泌されると、眠りが浅くなる・夜中に目が覚める・なんとなく落ち着かない、といった状態が起きやすくなるといわれている。

自分が甘いものを食べすぎた夜に眠れなかったのは、おそらくこの仕組みが関係していたのだと思う。「甘いものを食べたから眠くなる」ではなく、「甘いものを食べすぎると、数時間後に眠りが妨げられる」——そのずれに気づくまで時間がかかった。

血糖値スパイクの仕組みについてはこちらでも詳しく書いている。
お菓子がやめられない理由は脳にあった|血糖値スパイクとドーパミンの仕組みを知ると楽になる - 豊のたね

睡眠と食事の関係②:夕食の「タイミング」が睡眠ホルモンに影響する

何を食べるかだけでなく、いつ食べるかも睡眠に深く関係している。

夜になるとメラトニンという睡眠ホルモンが分泌され始める。このメラトニンが多く出ている時間帯に食事をとると、血糖値を下げるインスリンの分泌が抑制されやすくなることが研究で示されている(参考:マサチューセッツ総合病院、Diabetes Care 2022)。つまり、夜遅く食べるほど血糖値が上がりやすく、体への負担が増えやすい状態になる。

また、食後は胃腸が活発に働くため深部体温(体の中心部の温度)が上がる。質の良い睡眠には体温がゆっくり下がる必要があるため、食後すぐに眠ると睡眠が浅くなりやすいとされている。就寝の3〜4時間前には食事を終えるのが理想的といわれているのはこのためだ(参考:相談e-眠り、厚生労働科学研究)。

自分がニュージーランドでカフェの仕事を始めてから、夕食の時間が早くなった。仕事が終わる時間の関係で、自然と18〜19時頃に食べるようになった。それからのほうが、眠りが深い気がしている。「早めの夕食」が睡眠にいいというのは、自分の体でも感じてきたことだ。

睡眠と食事の関係③:「体にいいはずのもの」が夜には逆効果になることがある

ここが、自分が一番驚いた部分だ。

ナッツは健康的な食品として知られている。良質な脂質・ミネラル・タンパク質が豊富で、昼間に少量食べるには理想的なおやつだ。でも就寝直前にたくさん食べると、話が変わる。

脂質とタンパク質は消化に時間がかかる。胃の中に食べ物が留まる時間は、糖質が1〜2時間なのに対し、脂質は4〜6時間といわれている。就寝直前にナッツをたくさん食べると、眠っている間も胃腸がフル稼働し続け、深い眠りに入りにくくなる。

「体にいいもの」でも、タイミングと量によって体への影響は変わる。これは食と睡眠の関係に限らず、食事全般に言えることだと思っている。

消化の仕組みについてはこちらでも書いている。
食べ過ぎるとなぜ苦しくなるのか|消化の仕組みから食欲をコントロールするヒント - 豊のたね

睡眠と食事の関係④:「空腹すぎる」も睡眠を妨げる

一方で、夜に何も食べないことが睡眠に悪影響を与えることもある。

空腹状態が続くと血糖値が下がり、体はエネルギー不足を感知してストレスホルモンを分泌することがある。これが覚醒を促し、眠れない・夜中に目が覚めるという状態につながることがあるといわれている。

「食べすぎもダメ、食べなすぎもダメ」というのは、結局「適量を早めに食べる」ということに落ち着く。シンプルだけど、これが睡眠への食事の影響を考えるときの基本だと思っている。

眠りを助けるとされる栄養素と食品

避けるべき食べ方の話だけでなく、眠りを助けるとされる食品も整理しておく。

睡眠と食事|トリプトファンを含む食品

トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、体内でセロトニン、そして睡眠ホルモンのメラトニンに変換されるといわれている。トリプトファンを含む食品を夕食や夜に摂ることで、数時間後の眠りを助ける可能性があるとされている。

トリプトファンを含む食品:卵・豆腐・納豆・味噌・牛乳・バナナ・ナッツ類(少量)・赤身の魚

ポイントは「少量の糖質と一緒に摂ると吸収が高まる」とされている点だ。夕食に味噌汁・ご飯・卵や豆腐の組み合わせは、この観点から見ても理にかなっている。

睡眠と食事|マグネシウムを含む食品

マグネシウムは筋肉の緊張をほぐし、神経をリラックスさせる働きがあるといわれている。不足すると入眠しにくくなる・眠りが浅くなるという報告もある。葉物野菜・ナッツ・種子類・豆類・玄米などに含まれる。

睡眠と食事|温かい飲み物の効果

温かい飲み物を飲むと、一時的に体の表面温度が上がり、その後放熱によって体の深部体温が下がりやすくなるといわれている。この深部体温の低下が眠気を誘いやすくする。カフェインのない温かいハーブティー・白湯・温めた豆乳などが選びやすい。

眠れない夜の食習慣を見直す3つのコツ

「全部やらなければ」ではなく、一つだけ試してみるという感覚で読んでほしい。

睡眠と食事コツ①:夕食は就寝の3〜4時間前までに済ませる

食後に胃腸が落ち着くまでの時間を確保するのが基本だ。22時に寝るなら18〜19時頃が理想的。仕事の都合で難しい日もあるが、「できる日だけ早めにする」だけでも変わる。遅くなるときは、消化の重い脂質・タンパク質を減らし、軽めの内容にするのが現実的な対策だ。

睡眠と食事コツ②:就寝2時間前以降は甘いものを避ける

チョコレート・菓子パン・ジュース・アイスクリームなど、糖質の多いものは就寝前には避けるほうが眠りへの影響が少ない。どうしても何か食べたいときは、少量のナッツ・チーズ・温かい豆乳など、血糖値の上昇が緩やかなものを選ぶのが現実的だ。

睡眠と食事コツ③:夕食は「軽め」を意識する

食べる量を極端に減らすのではなく、「胃腸が楽な状態で眠れる量」を意識するということだ。揚げ物・肉の多い重い食事より、野菜・豆腐・味噌汁・ご飯のシンプルな組み合わせの方が、消化の負担が少なく眠りに入りやすい。自分が夕食を軽めにした日の方が眠りが深いと感じるのは、この仕組みと一致している気がする。

カフェイン・アルコールについても正直に書く

睡眠と食事の話をするなら、カフェインとアルコールには触れておく必要がある。

カフェインの覚醒作用は摂取後4〜6時間続くといわれている。夕方以降のコーヒーや緑茶は、寝つきを悪くする可能性がある。カフェインに敏感な人は午後2〜3時以降は避けるのが現実的だ。

アルコールは「眠くなる」という感覚があるが、実際には睡眠の質を下げることが多いとされている。アルコールが分解される過程で睡眠が浅くなり、夜中に目が覚めやすくなるという報告がある。「飲むと眠れる」と「深く眠れる」は別の話だ。

これらは「絶対やめなければいけない」という話ではない。ただ、「眠れない夜が続いているな」と感じているなら、見直す価値がある習慣だと思う。

まとめ

  • 就寝前の甘いもの・糖質の食べすぎは血糖値スパイクを起こし、興奮系ホルモンが分泌されて眠りを妨げやすい
  • 夕食が遅すぎると、睡眠ホルモン(メラトニン)分泌中にインスリンが出にくくなり血糖値が上がりやすくなる
  • ナッツなど「体にいい食品」でも就寝直前に食べすぎると消化負担で眠りが浅くなる
  • 就寝3〜4時間前までに食事を済ませ、軽めの夕食にすることが睡眠の質を保ちやすい
  • トリプトファン(卵・豆腐・納豆など)とマグネシウム(葉物・ナッツ少量)は眠りを助けるとされる栄養素

眠れない夜の原因は、ストレスや疲れだけじゃないかもしれない。食べたものと食べた時間を少し振り返ってみると、「あの日眠れなかったのはこれか」と気づくことがあるかもしれない。

完璧にやる必要はない。まず一つだけ試すなら、今夜の夕食を少し早めに、少し軽めにしてみてほしい。

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※この記事は個人の体験と調査に基づくものです。医療・栄養のアドバイスではありません。気になる方は専門家にご相談ください。

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